【らーめん¥500】02.2/25
このレポをUPするまでにもう3度ほどいっているのだが、思い返すだに涙が出てきそうになる。自分でも馬鹿じゃないかと思うのだが、切に多くの方にここまで食べて欲しいと思った店は正直ここが初めてだ。
しっとりとしたキメの細かい平めで硬めの中太麺に、ジンワリと効いた動物系のガラ系と鼻孔を着くが物腰の柔らかい風味の煮干しと鰹節の節系とのダシがソフトに絡んで、なんとも滋味深いまろやかさが口いっぱいに広がる。チャーシューも赤身部分が柔らかく処理されていて、肉の旨みが有りながらもサラリとしていてなんとも奥ゆかしい。メンマもネギも嫌みが全くない。
こんな風に書けばいくらでも述べられるが、この清貧とでもいおうか、飾りのないこのラーメンを覆う独特の雰囲気はボクだけが感じ取っているものなのだろうか。まるで円熟しつつも清貧なる妖艶さをこういってよければ貧相なまでに押さえ込んだ実力派女優のようなラーメンなのだ。その一歩引いたような滋味深さに、ボクはいまだにわんたんめんを頼めずにいる。食べたなら絶対にはまるに決まっている。でもでも、その前面に出るような部分が強化されるまごころのラーメンに出会うことに恐れすら感じてしまうのだ。
場所も市川市役所脇の私道のような細い路地でつつましさこの上ない。実に地味。店主も喜の優しそうな物腰の柔らかいタイプで、決して我を通して金や名誉に邁進するタイプには見えない。この押しの弱そうな感じが自分はとても愛おしく思う。故に原価率が4割を超えてしまうこともあるのだろう。東京の繁華街ではなく、郊外の路地裏でひっそりと確かな仕事をする誠実な人間がいて、それを評価する人間がいること。今のラーメンブームの功罪の、これが功の部分だという気がしてならない。その意味でも、ラーメンという文化を知ってもらうために、こういう店、なかでもこのまごころのラーメンを、沢山の方に味わってもらいたいと本心から思うのだ。
|