第14回 水道リベンジ〜もぐりのワーダーボリック給水所 東京の桜が見ごろを終えて暫く経とうとしているところ恐縮だが、花見ネタである。以前来て入れなかった際にリベンジを誓った和田掘給水所! 京王線代田橋駅南口を出て西へ線路に沿って進むと1〜2分で堅牢なるコロッセオの如き一号配水池が出迎えてくれるが、このほんのちょっとの区間ながら桜舞い散る中、都内では貴重となったほぼ徒歩と同一レベルで行き交う電車を眺め歩くという誠に贅沢な時間が過ごせる。 所内に入ると警備員がかなりの数巡回しているが、それだけ厳重、かつ普段は一般公開されてないだけあって、ゴミひとつ落ちていないキレイに整備された空間が出来上がっている。 飲酒禁止も納得である。伺った時機はちょうど散り際で、道端や、小高い丘状の二号配水池の山肌に桜の葉が散りばめられ、それは見事な光景となっていた。 一号配水池に対し外観が小山なので頂上にある出入り口しかそれらしい痕跡を拝めないのが残念でならない。厳重な警備で突入もままならない。花見を楽しんだ後、桜並木となっている二号配水池脇の道を離れ、一号配水池を一周してみることに。 一号配水池は1934年(昭和9)年完成なのに対し、二号配水池は1924年(大正13年)とこちらの方が歴史があり、都内でも2番目の古さだという。多摩川を源流とする水道は村山貯水池(庭先にゃ多摩湖♪)を経て淀橋浄水場へと注いでいたが、中継地点となる境浄水場(最寄は武蔵境。引込み線があったらしい!?)の配水池として和田掘給水所は機能しているという。今では都区内周辺地域の水道水は利根川水系にその役割を委ねているが、現在でも配水作業や震災時の給水活動用に当てられているそうだ。 いくつか現存する戦前の水道設備を見ていつも思うのだが、現代からは無駄としか思えないような意匠など細部の凝り様、また全体としてもシルエットのスタイリッシュさはなんなんだろう。贅沢としか思えないが、水道施設に限らず看板建築などを例にみても、職人技を見せ付けるユトリがあった時代なのだろう。日が傾きかけた空に映える荘厳なる佇まいをゆっくりご覧頂きたい。 夢中で写真を撮っていたら閉所時間となってしまったので慌てて正門へ戻ると、自分が最後だったらしく警備員が整列して送り出してくれた。刑期を終えシャバに出るような絵面になってしまった。。。 こうなれば「カツ丼とラーメン、その前にビール」なのだろうが、この連載ではラーメンだけにしておこう。駅前の商店街は小体の店がひしめき合う小さなものながら、ヤサグレた独特の空気感が漂い、夜ともなると小さなバーに灯りが点るのだが、その中でも一際異彩を放っているのがここ、龍ちゃんラーメン。
移転してさすがに広い店舗になったろうと思いきや、うなぎの寝床のような店をさらに、客席と厨房とで真っ二つにしたようなつくりで、相変わらずの狭さ。1.4畳という噂も納得できるが、それが逆にホッとさせられた。若干違うのは、第6回で紹介した沖縄タウンが近いからか、沖縄チックな内装も散見できる点か。あの首里製麺とのコラボメニューもあるようだ。 名物もぐらつけ麺¥800は大根おろしの浸る冷たいつけ汁に熱々の麺という通常のつけ麺とは逆の発想。つけ汁には氷まで潜んでいた。 ボッキボキの食感の平打ち縮れ麺をつけて食べると、麺に大根おろしが乗り、醤油の濃〜い辛め味わいが口中に広がり、これまで体感したことのない感覚に驚かされる。大根おろしの辛味と、そしてなんといっても甘みは冷たくないと活きてこないのだろう。 久々の味との再開に機嫌をよくしながら、玉川上水へ寄り道をして家路についた。やはりこの用水路一面に桜の花びらが敷き詰められた様は絶景である。 最後に、和田掘給水所の一般開放だが、つつじの時期もあるので、4/26〜5/6、GW中に訪れるのも一興かと。 2007年7月20日更新 |